この記事はthree.jsについてのシリーズ記事の一つです。 最初の記事はThree.jsの基礎知識です。 まだ読んでない人は、そちらから先に読んでみるといいかもしれません。
テクスチャはThree.jsの大きなトピックの一つです。 どのレベルで説明するといいか100%承知してはいませんが、やってみようと思います。 Three.jsにはたくさんのトピックがあり、互いに関係しているので、一度に説明するのが難しいのです。 これがこの記事の内容の早見表です。
テクスチャは一般的にPhotoshopやGIMPのような3rdパーティーのプログラムで最もよく作られる画像です。 例えば、この画像を立方体に乗せてみましょう。
最初の例を修正してみましょう。TextureLoader
を作ることで、必要なことはすべてできます。
load
を画像のURLを引数にして呼び、color
を設定する代わりに、
マテリアルのmap
属性にその結果を渡してください。
+const loader = new THREE.TextureLoader(); const material = new THREE.MeshBasicMaterial({ - color: 0xFF8844, + map: loader.load('resources/images/wall.jpg'), });
MeshBasicMaterial
を使っているので、光源が必要ないことに注意してください。
立方体の各面に貼り付ける、6つのテクスチャはどのようなものでしょうか。
Mesh
を作るときに、単に6つのマテリアルを作り、配列として渡します。
const loader = new THREE.TextureLoader(); -const material = new THREE.MeshBasicMaterial({ - map: loader.load('resources/images/wall.jpg'), -}); +const materials = [ + new THREE.MeshBasicMaterial({map: loader.load('resources/images/flower-1.jpg')}), + new THREE.MeshBasicMaterial({map: loader.load('resources/images/flower-2.jpg')}), + new THREE.MeshBasicMaterial({map: loader.load('resources/images/flower-3.jpg')}), + new THREE.MeshBasicMaterial({map: loader.load('resources/images/flower-4.jpg')}), + new THREE.MeshBasicMaterial({map: loader.load('resources/images/flower-5.jpg')}), + new THREE.MeshBasicMaterial({map: loader.load('resources/images/flower-6.jpg')}), +]; -const cube = new THREE.Mesh(geometry, material); +const cube = new THREE.Mesh(geometry, materials);
動きました!
ただし、全ての種類のジオメトリが複数のマテリアルに対応しているわけではないことに注意してください。
BoxGeometry
とBoxGeometry
は、それぞれの面に6つのマテリアルを使えます。
ConeGeometry
とConeGeometry
は2つのマテリアルを使うことができ、一つは底面、一つは円錐面に適用されます。
CylinderGeometry
とCylinderGeometry
は3つのマテリアルを使うことができ、一つは底面、一つは上面、一つは側面に適用されます。
その他のケースでは、カスタムジオメトリのビルドや読み込み、テクスチャの座標の修正が必要になります。
1つのジオメトリに複数の画像を適用したいなら、 テクスチャアトラスを使うのが、ほかの3Dエンジンでははるかに一般的で、はるかに高性能です。 テクスチャアトラスは、一つのテクスチャに複数の画像を配置し、ジオメトリの頂点の座標を使って テクスチャのどの部分がジオメトリのおのおのの三角形に使われるか、選択するものです。
テクスチャの座標とはなんでしょうか?ジオメトリ頂点に与えられたデータのことで、 テクスチャのどの部分がその頂点に対応するか指定するものです。 カスタムジオメトリの構築を始めるときに説明します。
このサイトのコードのほとんどは、もっとも簡単なテクスチャの読み込み方を使っています。
TextureLoader
を作り、そのload
メソッドを呼びます。
これはTexture
オブジェクトを返します。
const texture = loader.load('resources/images/flower-1.jpg');
このメソッドを使うと、画像がthree.jsによって非同期的に読み込まれるまで、テクスチャが透明になります。読み込まれた時点で、テクスチャをダウンロードした画像に更新します。
この方法では、テクスチャの読み込みを待つ必要がなく、ページをすぐにレンダリングし始めることができるという、大きな利点があります。 多くのケースでこの方法で問題ありませんが、テクスチャをダウンロードし終えたときにthree.jsに通知してもらうこともできます。
テクスチャの読み込みを待つために、テクスチャローダーのload
メソッドは、テクスチャの読み込みが終了したときに呼ばれるコールバックを取ります。
冒頭の例に戻り、このように、Mesh
を作りシーンに追加する前に、テクスチャの読み込みを待つことができます。
const loader = new THREE.TextureLoader(); loader.load('resources/images/wall.jpg', (texture) => { const material = new THREE.MeshBasicMaterial({ map: texture, }); const cube = new THREE.Mesh(geometry, material); scene.add(cube); cubes.push(cube); // add to our list of cubes to rotate });
ブラウザのキャッシュをクリアし、接続が遅くならない限り、違いが分かることはないと思いますが、 ちゃんとテクスチャが読み込まれるのを待っているので、安心してください。
全てのテクスチャが読み込まれたことを待つために、LoadingManager
を使うことができます。
TextureLoader
を渡すと、onLoad
属性がコールバックに設定されます。
+const loadManager = new THREE.LoadingManager(); *const loader = new THREE.TextureLoader(loadManager); const materials = [ new THREE.MeshBasicMaterial({map: loader.load('resources/images/flower-1.jpg')}), new THREE.MeshBasicMaterial({map: loader.load('resources/images/flower-2.jpg')}), new THREE.MeshBasicMaterial({map: loader.load('resources/images/flower-3.jpg')}), new THREE.MeshBasicMaterial({map: loader.load('resources/images/flower-4.jpg')}), new THREE.MeshBasicMaterial({map: loader.load('resources/images/flower-5.jpg')}), new THREE.MeshBasicMaterial({map: loader.load('resources/images/flower-6.jpg')}), ]; +loadManager.onLoad = () => { + const cube = new THREE.Mesh(geometry, materials); + scene.add(cube); + cubes.push(cube); // add to our list of cubes to rotate +};
LoadingManager
はonProgress
属性もあり、
プログレスインジケーターを表示するためのコールバックを設定できます。
まず、HTMLにプログレスバーを追加しましょう。
<body> <canvas id="c"></canvas> + <div id="loading"> + <div class="progress"><div class="progressbar"></div></div> + </div> </body>
そしてCSSにも追加します。
#loading { position: fixed; top: 0; left: 0; width: 100%; height: 100%; display: flex; justify-content: center; align-items: center; } #loading .progress { margin: 1.5em; border: 1px solid white; width: 50vw; } #loading .progressbar { margin: 2px; background: white; height: 1em; transform-origin: top left; transform: scaleX(0); }
そうすると、コード内でonProgress
コールバックのprogressbar
のスケールが更新できます。
これは、最後のアイテムが読み込まれるURL、いま読み込まれているアイテムの数、アイテムの合計数を渡して呼ばれます。
+const loadingElem = document.querySelector('#loading'); +const progressBarElem = loadingElem.querySelector('.progressbar'); loadManager.onLoad = () => { + loadingElem.style.display = 'none'; const cube = new THREE.Mesh(geometry, materials); scene.add(cube); cubes.push(cube); // add to our list of cubes to rotate }; +loadManager.onProgress = (urlOfLastItemLoaded, itemsLoaded, itemsTotal) => { + const progress = itemsLoaded / itemsTotal; + progressBarElem.style.transform = `scaleX(${progress})`; +};
キャッシュを削除して低速なコネクションを作らない限りは、プログレスバーを見ることできないかもしれません。
異なるサーバーの画像を使うため、そのサーバーは正しいヘッダーを送る必要があります。 そうしないと、three.jsでその画像を使うことができず、エラーを受け取るでしょう。 もし皆さんが画像を提供するサーバーを運用しているなら、 正しいヘッダーを送るを確認してください。 画像をホスティングしているサーバーに手を入れられず、権限用のヘッダーを送ることができないなら、 そのサーバーからの画像を使うことはできません。
例えば、imgur、flickr、そして githubは全て、ホストしている画像を three.jsで使うことができるようなヘッダーを送っています。
多くの場合、テクスチャはthree.jsアプリの中で最もメモリを使っています。
一般的にテクスチャは幅 * 高さ * 4 * 1.33
バイトのメモリを消費していることを理解するのは重要です。
圧縮については言及していないことに注意してください。.jpgイメージを作り、超高圧縮することもできます。 例えば、家のシーンを作っているとしましょう。家の中には、テーブルがあり、上面に木目のテクスチャを置くことに決めました。
このイメージはたった157kなので、比較的速くダウンロードすることができます。しかし、 ピクセルだと3024 x 3761の大きさです。 前述した式によると、
3024 * 3761 * 4 * 1.33 = 60505764.5
となり、three.jsの60メガのメモリ!を消費するでしょう。 このようなテクスチャがいくつかあるだけで、メモリリークしてしまうでしょう。
この例を持ち出したのは、テクスチャを使用することの隠れたコストを知っているのが重要だからです。 three.jsでテクスチャを使うためには、テクスチャのデータをGPUに渡し、一般的に非圧縮にしておく必要があります。
この話の教訓は、テクスチャをファイルサイズだけでなく、次元も小さくすることです。 ファイルサイズの小ささ = 高速なダウンロードです。次元の小ささ = 省メモリです。 では、どのように小さくできるのでしょうか? できるだけ小さく、そして十分見えるくらいです。
これは通常のHTMLとほぼ同じで、PNGはロスレス圧縮なので、lossy圧縮のJPGよりも 一般的にダウンロードが遅くなります。 しかし、PNGは透過性があります。PNGは法線マップや後ほど説明する非画像マップのような非画像データにも適したフォーマットです。
WebGLにおいて、JPGがPNGよりも省メモリではないことを覚えておいてください。上記を参照してください。
この16x16のテクスチャを
立方体に適用してみます。
この立方体をとても小さく描画してみましょう。
ふーむ、見えにくいです。小さな立方体を拡大してみましょう。
GPUは小さな立方体のどのピクセルにどの色を使うか、どうやって知るのでしょうか? 立方体が小さすぎて1、2ピクセルしかないとしたらどうでしょうか?
フィルタリングとはこういうものです。
もしフォトショップなら近くの全てのピクセルを平均して、1、2ピクセルの色を見つけます。 これはとても遅い操作です。GPUはミップマップを使ってこの問題を解決します。
MIPはテクスチャのコピーで、ピクセルがブレンドされて次の小さいMIPを作られます。そのため、前のMIPの半分の幅と半分の高さになっています。 MIPは1x1ピクセルのMIPが得られるまで作られます。 全てのMIP上の画像はこのようになります。
さて、立方体が1、2ピクセルの小ささに描かれたとき、どんな色にするか決めるため、GPUは最も小さなMIPレベルか次に小さいMIPか選ぶことができます。
three.jsでは、テクスチャが元の大きさより大きく描かれたときと、小さく描かれたときの両方で、処理の設定を選ぶことができます。
テクスチャが元の大きさより大きく描かれたときのフィルタ設定として、texture.magFilter
属性にTHREE.NearestFilter
かTHREE.LinearFilter
を設定することができます。
NearestFilter
は元のテクスチャから最も近い1ピクセルを使用するということです。
低解像度のテクスチャでは、マインクラフトのようにピクセル化された見た目になります。
LinearFilter
はテクスチャから、色を決めたいピクセルに最も近い4ピクセルを選び、
実際の点が4つのピクセルからどれだけ離れているかに応じて適切な比率で混ぜ合わせます。
元の大きさよりもテクスチャが小さく描画された時のフィルタ設定では、
texture.minFilter
属性を6つの値から一つ設定できます。
THREE.NearestFilter
上と同様に、テクスチャの最も近いピクセルを選ぶ。
THREE.LinearFilter
上と同様に、テクスチャから4ピクセルを選んで混ぜ合わせる。
THREE.NearestMipmapNearestFilter
適切なMIPを選び、ピクセルを一つ選ぶ。
THREE.NearestMipmapLinearFilter
2つMIPを選び、それぞれからピクセルを選んで、その2つを混ぜる。
THREE.LinearMipmapNearestFilter
適切なMIPを選び、4ピクセルを選んで混ぜ合わせる。
THREE.LinearMipmapLinearFilter
2つMIPを選び、それぞれから4ピクセルを選んで、8つ全部を混ぜ合わせて1ピクセルにする。
ここで6つ全ての設定の例を見せましょう。
注意することは、左上と中央上はNearestFilter
を使っていて、LinearFilter
はMIPを使っていないことです。GPUが元のテクスチャからピクセルを選ぶので、遠くはちらついて見えます。
左側はたった一つのピクセルが選ばれ、中央は4つのピクセルが選ばれて混ぜ合わされます。しかし、
良い色の表現には至っていません。
ほかの4つの中では、右下のLinearMipmapLinearFilter
が一番良いです。
上の画像をクリックすると、上で使用しているテクスチャと、MIPレベルごとに色が異なるテクスチャが切り替わります。
これで、起きていることが分かりやすいでしょう。 左上と中央上は、最初のMIPがずっと遠くまで使われているのが分かります。 右上と中央下は、別のMIPが使われているのがよく分かります。
元のテクスチャに切り替えると、右下が滑らか、つまり高品質であることが分かります。 なぜ常にこのモードにしないのか聞きたいかもしれません。 最も明らかな理由は、レトロ感を出すために、ピクセル化してほしいとかです。 次の理由は、8ピクセルを読み込んで混ぜ合わせることは、1ピクセルを読んで混ぜ合わせるよりも遅いことです。 1つのテクスチャの速度では違いが出るように思えないかもしれませんが、 記事が進むにつれて、最終的に4、5のテクスチャを一度に持つマテリアルが出てくるでしょう。 4テクスチャ * 8ピクセル(テクスチャごと)は、どのピクセルを描画するにも32ピクセル探すことになります。 これはモバイルデバイスで考えるときに特に重要になります。
テクスチャは、繰り返し、オフセット、回転の設定があります。
three.jsのデフォルトのテクスチャは繰り返されません。
テクスチャが繰り返されるかどうかの設定には、2つの属性があります。
水平方向のラッピングにwrapS
と、垂直方向のラッピングにwrapT
です。
以下のどれかが設定されます:
THREE.ClampToEdgeWrapping
それぞれの角の最後のピクセルが永遠に繰り返されます。
THREE.RepeatWrapping
テクスチャが繰り返されます。
THREE.MirroredRepeatWrapping
テクスチャの鏡像が取られ、繰り返されます。
例えば、両方向にラッピングすると、
someTexture.wrapS = THREE.RepeatWrapping; someTexture.wrapT = THREE.RepeatWrapping;
繰り返しはrepeat
属性で設定されます。
const timesToRepeatHorizontally = 4; const timesToRepeatVertically = 2; someTexture.repeat.set(timesToRepeatHorizontally, timesToRepeatVertically);
テクスチャのオフセットはoffset
属性でできます。
テクスチャは1単位 = 1テクスチャの大きさにオフセットされます。
言い換えると、0 = オフセットなし、1 = テクスチャ全体の大きさということです。
const xOffset = .5; // offset by half the texture const yOffset = .25; // offset by 1/4 the texture someTexture.offset.set(xOffset, yOffset);
テクスチャの回転は、rotation
属性で、ラジアンで指定します。
同様に center
属性で回転の中心を指定します。
デフォルトは0,0で、左下の角で回転します。
オフセットと同じように、単位はテクスチャの大きさなので、.5, .5
に設定すると、
テクスチャの中心での回転になります。
someTexture.center.set(.5, .5); someTexture.rotation = THREE.MathUtils.degToRad(45);
最初に取り上げたサンプルでこれらの値を試してみましょう。
最初に、テクスチャを操作できるように参照を保持しておきます。
+const texture = loader.load('resources/images/wall.jpg'); const material = new THREE.MeshBasicMaterial({ - map: loader.load('resources/images/wall.jpg'); + map: texture, });
ここでも、簡単なインターフェースを提供するためにlil-guiを使います。
import {GUI} from 'three/addons/libs/lil-gui.module.min.js';
以前のlil-guiの例でしたように、lil-guiに度数で操作できるオブジェクトを与え、 ラジアン単位でプロパティを設定する簡単なクラスを使います。
class DegRadHelper { constructor(obj, prop) { this.obj = obj; this.prop = prop; } get value() { return THREE.MathUtils.radToDeg(this.obj[this.prop]); } set value(v) { this.obj[this.prop] = THREE.MathUtils.degToRad(v); } }
"123"
といった文字列から123
といった数値に変換するクラスも必要です。
これは、three.jsはwrapS
やwrapT
のようなenumの設定として数値が必要ですが、
lil-guiはenumに文字列のみを使うためです。
class StringToNumberHelper { constructor(obj, prop) { this.obj = obj; this.prop = prop; } get value() { return this.obj[this.prop]; } set value(v) { this.obj[this.prop] = parseFloat(v); } }
このクラスを使って、上記設定のための簡単なGUIをセットアップできます。
const wrapModes = { 'ClampToEdgeWrapping': THREE.ClampToEdgeWrapping, 'RepeatWrapping': THREE.RepeatWrapping, 'MirroredRepeatWrapping': THREE.MirroredRepeatWrapping, }; function updateTexture() { texture.needsUpdate = true; } const gui = new GUI(); gui.add(new StringToNumberHelper(texture, 'wrapS'), 'value', wrapModes) .name('texture.wrapS') .onChange(updateTexture); gui.add(new StringToNumberHelper(texture, 'wrapT'), 'value', wrapModes) .name('texture.wrapT') .onChange(updateTexture); gui.add(texture.repeat, 'x', 0, 5, .01).name('texture.repeat.x'); gui.add(texture.repeat, 'y', 0, 5, .01).name('texture.repeat.y'); gui.add(texture.offset, 'x', -2, 2, .01).name('texture.offset.x'); gui.add(texture.offset, 'y', -2, 2, .01).name('texture.offset.y'); gui.add(texture.center, 'x', -.5, 1.5, .01).name('texture.center.x'); gui.add(texture.center, 'y', -.5, 1.5, .01).name('texture.center.y'); gui.add(new DegRadHelper(texture, 'rotation'), 'value', -360, 360) .name('texture.rotation');
最後に特記することは、もしテクスチャのwrapS
やwrapT
を変えるなら、
three.jsが設定の適用を知るために、texture.needsUpdate
も設定しなければならないことです。ほかの設定は自動的に適用されます。
これはテクスチャのトピックへの第一歩にすぎません。 ある時点で、テクスチャの座標や、マテリアルが適用できる別の9種のテクスチャについても説明します。
今のところは、光源に進みましょう。